映画感想:デッドプール ~外道非道を切りさばく、愛のヒーロー~

ワクワクもんですね。

光光太郎です。


今回はR-15指定のヒーロー映画である


デッドプール


のネタバレ感想を書いていきたいと思います。お客さん、かなり入っていました!

■あらすじと解説

マーベルコミック原作の人気作「X-MEN」シリーズのスピンオフで、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」に登場した異色のヒーロー、デッドプールを主役に描くアクションエンタテインメント。好き勝手に悪い奴らをこらしめ、金を稼ぐヒーロー気取りな生活を送っていた元傭兵のウェイド・ウイルソンは、恋人ヴァネッサとも結婚を決意し、幸せの絶頂にいた矢先、ガンで余命宣告を受ける。謎の組織からガンを治せると誘われたウェイドは、そこで壮絶な人体実験を受け、驚異的な驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまう。ウェイドは、赤いコスチュームを身にまとった「デッドプール」となり、人体実験を施したエイジャックスの行方を追う。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でも同役を演じたライアン・レイノルズが、毒舌家で自己中心的という型破りなアンチヒーローのデッドプールに扮した。全米ではR指定作品として記録的な大ヒットを飛ばした。監督は、視覚効果分野出身で今作が初長編作となるティム・ミラー。(映画.comより引用)


■感想

「デッドプール」はMARVELヒーローの1人であるデッドプールを主役にした、アメコミ原作の実写映画作品です。X-MENシリーズを制作している20世紀FOXの作品でもありますので、X-MENのミュータント要素も物語に深く絡んできます。この「デッドプール」を巡る様々な裏話は面白いのですが、そこら辺は非常に詳しくパンフレットに掲載されているので、そちらを購入して参照してみて下さい。他のネット記事などにも詳しく載っていると思います。


さて、毎回このブログでは私が感じた作品の軸やそれを構成する要素について自分勝手に語っていくわけですが、この「デッドプール」での軸はデッドプールの魅力で物語を構成することです。それを下支えする要素としては、デッドプールが物語る構成、デッドプールのヒーロー性、メタネタ下ネタバイオレンス、等が挙げられます。「デッドプール」というタイトル通り、デッドプールというキャラクターが押し出されまくっている映画でした。

デッドプールが物語る構成

そもそもデッドプールは、かなり無茶苦茶なキャラクターなんですね。X-MENのウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)と同等の回復能力とスパイダーマン並のおしゃべり癖を持ち、様々な武器を扱うという所まではまぁ普通なのですが、彼を彼足らしめているのは「第四の壁」を超えるということなんです。彼は自分が創作上のキャラクターであることを自認しており、コミックやスクリーンを見ている「こちら側」へ話しかけてきます。そんな様子を他のキャラクターも見ているのですが、彼は周りから「頭がおかしい奴」と思われているので、第四の壁を超える発言をしても「また変なこと言ってるよ…」で済まされるんですね。


そんなわけで、ファンからは第四の壁の破壊が期待されていた「デッドプール」ですが、なんとそれを物語の構造そのものにも持ち込んでいたんですね。今作はいきなり車内での戦闘シーンから始まり、そこからデッドプール自身の語りによって時系列がごちゃ混ぜになりながら物語が進行していきます。うだうだと思い返しながらも「こちら側」に対して自身の身の上を語る様子は、自らが映画の道化であることを自認しているかのようです。まぁどちらかと言うと、彼の語りを聴いて観ている我々が、彼に踊らされているのですが(笑)。他のキャラクター達の掘り下げを一切行わないのも、デッドプールがそれを知っていないから話せない…と考えると辻褄が合います。


デッドプール最大の特徴が、そのまま映画を形作っている今作は、究極のキャラクター映画であると言えるかもしれませんね。


惜しむらくは、彼が第四の壁を超えた発言をした際に、周りのキャラクターがそれに対して反応しないことですね。「音楽スタート!」など、明らかに分かる場面があるにも関わらず「何言ってんだお前?」みたいな反応が無かったのは残念です…。彼の能力が「デッドプール」という作品世界でどう捉えられているのか…今後の作品での描写に期待ですね。



デッドプールのヒーロー性

デッドプールは無茶苦茶なヒーローである、とは前述しましたが、そのヒーロー性というものが何なのかということが、今作ではしっかりと描かれていました。そのヒーロー性とは「愛する彼女の為に頑張る」「非道徳的だからこそ希望を与える」「嘘が無く素直」であると言えるでしょう。


そもそも今作のお話は、ガンを患った元傭兵のウェイドが恋人ヴァネッサの為に治療を受けたところ、フランシスという外道によってミュータントに改造された挙句に酷い顔にされてしまうが、ヴァネッサに再び会うためにフランシスを探し当て、顔を治療させるために頑張る…というものでした。つまり、宣伝でも言われている通り、愛する者の為に頑張る(そして悪人をぶっ殺す)純愛ラブストーリーなんですね。特に病院でガンを告げられるシーンや、クライマックスで再び会うシーンは、デッドプールという「好ましい」人物を表すだけでなく、ラブシーンとしても最高な場面でしょう。一途で素直な彼だからこそ、ヴァネッサも「商売」で終わることなく、ショートな髪がロングになるまで彼と愛し続け、失踪後も思い続けていたんでしょうね。


今作がR指定を受けているのは、残虐なバイオレンスシーンや下ネタがあるためなのですが、よくよく考えるとヒーローにあるまじきことですよね。しかし、正義や正しさを説くのではなく「悪党外道はぶっ殺す!!それが出来ないのならヒーローなんてクソ喰らえだ!」と言い切れる彼だからこそ、救われる人達がいる…そういうヒーロー性を描いているんですね。冒頭のヤンキー少女は、デッドプールになる前のウェイドの「暴力」と「優しさ」に救われ、彼をヒーローと呼びました。また、デッドプールを2度乗せたタクシードライバーは、彼のヒーローとは思えない助言によって、恋愛で大きな一歩を踏み出しました。酷い顛末でしたが…(笑)。X-MENの1人であるネガソニックは、どこまでも理不尽に立ち向かうデッドプールの姿勢から、自分が目指すべきヒーロー像の一端を見たかもしれません。勿論、娼婦として働いていたヴァネッサも、彼によって救われたと言えるでしょう。


デッドプールのヒーロー性を表す要素として「嘘無く素直」であることは欠かせないでしょう。上記2つの要素の大本は、この要素であると言えるかもしれません。彼の言動は我慢も嘘も無く、素直に感情をぶつけるものです。愛情と嫌悪を素直に表現し、喜びは照れつつ示す…理想や道徳で自分を偽ることなく、率直な感情で行動する彼だからこそ、劇中のキャラクターだけでなく私達も、彼をヒーローとして見れるのです。


メタネタ下ネタバイオレンス

デッドプールは無茶苦茶でバイオレンスなヒーローであることは重ねて書いてきた通りですが、それをアメコミの通りにするためにR-15指定の作品にしているんですね。そのため今作では、こちらが心配になるほどのメタネタをぶち込み、マザファ○カーと連呼するサントラが流れ、首ちょんぱや串刺しが蔓延する立派なR-15作品になっていました。メタネタはありすぎて列挙するのが難しいのですが、最高なネタは冒頭の冒頭でしたね…あそこまで制作者をディスるとは…。下ネタはまぁ…多くて笑えましたが、一番楽しいのはセッ○スシーンじゃないですかねやっぱり。ええ。バイオレンスは痛い描き方ではなく、ケレン味たっぷりな面白さが優先の魅せ方になっていて、全くグロさはありませんでしたね。



デッドプールが物語る構成、デッドプールのヒーロー性、メタネタ下ネタバイオレンス…これらの要素が様々な演出によって真っ当なものになっており、デッドプールの魅力で物語を構成するという軸を作り出していたんですね。


デッドプールは、アベンジャーズやスーパーマンの様に、正義と理想と平和に燃えるヒーローではありません。自分の感情で動き、身の回りの問題に対して力を振るう存在でした。しかし彼は、自分の最悪な状況に屈することなく、冗談を言いながらマイペースに立ち向かっていました。そんな彼だからこそ、最も身近で素直なモノに則り、人を見て動く彼だからこそ、救われる存在や与えられる元気がある…。そんなヒーローなんですよね、デッドプールは。



■超個人的な感想

面白かった点

①シンプルでコンパクトなお話

②超楽しそうなスタン・リー

③エイリアン3ネタ



①シンプルでコンパクトなお話

今作は目標に向かってひたすら突っ走る状況のみを描いた、とてもシンプルなお話でした。前述した通り、キャラクターの掘り下げもデッドプール以外はあまり行われません。感情的な独白も思想語りも悩みシーンも殆どないため、かなりあっさりした作品に見えます。また、全編通して登場するキャラクターも7名程しかおらず、場面転換もさほどないので、コンパクトな規模でお話が進みます。

大作路線のヒーロー映画が増える中で、こういった分かりやすい、コンテンツとして消費しやすいヒーロー映画が生まれたことは、とても喜ばしいことだと思います。

そもそも予算が少ないんですけどね!IMDBによると…一目瞭然ですね。

・デッドプール

→$58,000,000

・アイアンマン

→$140,000,000

・ウルヴァリン サムライ

→$120,000,000

・シビルウォー

 →$250,000,000

・BvS

 →$250,000,000


②超楽しそうなスタン・リー

毎度おなじみ、MARVEL作品にカメオ出演するスタン・リー御身ですが、今回は何と「ストリップバーの店員」として出ていました。何故か滅茶苦茶楽しそうだったんですよねぇ(笑)。長生きしてほしいものです。


③エイリアン3ネタ

ネガソニックに対してデッドプールが「エイリアン3のリプリーみたい!」と言うのですが、似てるんですよ(笑)。一番笑った引用ネタでした。


残念だった点

①迫力不足で見辛いアクション

②デッドプールのメタ発言に突っ込まない周り

③X-MEN2人組のキャラが希薄



①迫力不足で見辛いアクション

高速道路でのシーンはかなり見応えのあるメリハリアクションが繰り広げられるのですが、その時点で周りに障害物が多く、かつそれが気になる様な撮り方になっていました。そこから終盤に行くにつれてアクションの面白さや迫力が下降気味になり背景のゴチャゴチャさは上昇、新鮮味も薄れていったんですよねぇ…。特にゴチャゴチャ背景はかなり気になりました。MCU作品のアクションシーンが如何に洗練されているか、その凄さを改めて感じましたね。


②デッドプールのメタ発言に突っ込まない周り

これは前述した通りですが、明らかに第四の壁を超えた発言に対して何のツッコミも無いのは残念です。これを抜きにすると、他のキャラクターも「こちら側」を認識できるように映ってしまうと思うんですよ。


③X-MEN2人組のキャラが希薄

今作は良くも悪くもデッドプール推しなので致し方無いですが、X-MENとして登場するコロッサスとネガソニックが、殆ど人物として掘り下げられないんですよね。デッドプールに対してヒーロー論を説きまくり、健康的なものを食べて飲み、おっぱいを見れないコロッサスは割と優遇されていますが、殆ど台詞も無いネガソニックはもっと色んな面が見たかったですね。彼ら2人の絡みやチーム感も見たかったところです。続編に期待ですね。



全然クソ無責任じゃない(悪党には無責任)ヒーロー、デッドプールの活躍を是非目に焼き付けましょう!!おススメです!

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