ワクワクもんですね。
光光太郎です。
先日、手裏剣戦隊ニンニンジャーが惜しまれつつも放送を終了しました。もうあのイケイケドンドンなアクション、作劇、勢いをTVでみられないと思うと残念です。いや、最終回付近は毎回泣きながらみてましたね…。
手裏剣戦隊ニンニンジャーは、祖父の伊賀崎好天が持つラストニンジャという称号を得るために5人の孫+1人の弟子が奮闘し、倒すべき敵、戦国最強牙鬼幻月一味を打倒していくお話でした。敵組織はいますが、基本は全員ライバル同士の関係で、戦いの中でお互いに切磋琢磨していく姿が描かれていました。
そこで今回は、手裏剣戦隊ニンニンジャーの総括について書いていきたいと思います。
思えば一年前、最初はほんとノれない作品でした…。ニンニンジャーのレッド枠である伊賀崎天晴には正直全く魅力を感じず、10数話辺りまで毎回毎回イライラしながら見ていました。人の話は聞かない、迷惑をかけても突っ走る、それでも一人で勝ってしまうほど強い、滑舌が悪い…今観返してもその感想は変わらないと思います。そして他の4人も、そういった状況を半ば容認しているような、そんな雰囲気があったんです。子供向けの物語として不誠実だと思っていたくらいでした。アクションは凄いしエンターテイメントバリバリだけど、これは…と。
ですが、そういった要素すら、ニンニンジャーという物語のテーマ、軸たる部分だったんですね。ニンニンジャーが抱いていたテーマとは「成長」です。子供向け物語としてこの上なく真っ当なテーマを、1年という実時間をかけ、エンターテイメント色たっぷりに描いていた作品でした。
最序盤ではあまりにもアホ過ぎる面々だった6人ですが、蛾眉雷蔵との決戦を経て「天晴がいるから4人は頑張ることができ、4人がいるから天晴は強くなれる」という独自の戦隊感を築きました。ここは必殺技の演出でも見事にその戦隊感が表現されていて、身震いしましたね。
その後彼らは、新しい敵幹部や天空のオトモ忍との出会い、十六夜流忍者との戦い等、様々な経験を積んでいきます。そして、そこで得た経験や気づき、言葉を、彼らは自分の中へ着実に蓄えていくんですね。ゲキアツダイオーへの初合体や天晴以外による超絶変身等、その描写はとても丁寧に描かれていて、彼らが過去の経験を基にして成長し困難を乗り越えていく様には、同じ実時間を共にしてきた視聴者として、純粋に感動してしまいます。ここら辺は、過去に固執する九衛門と上手く対比させて描かれていて、分かりやすくなっていました。
そして彼ら6人は、ラストニンジャである祖父からの教えや切磋琢磨してきたこれまでの全てを糧にし、今の困難を超え、ラストニンジャの宿命を超えて新しい未来を創り出すことに成功します。
そして、ラストニンジャや天晴達の父親もまた成長し、新しい道を作りました。ラストニンジャはかつての弟子である十六夜九衛門に殺されてしまいますが、生前に残されていたメッセージには、宿命と自分を超えて新しい道を進んだ弟子たちへの激励が込められていました。自らを殺す宿命を課していた身として、彼らの成長を誰よりも喜んでいたのはラストニンジャその人でしょう。そして彼は、最後の瞬間にかつての弟子へもう一度手を差し伸べました。その手は弟子、つまり九衛門の心を解くカギになったんですね。九衛門もまた、過去と今に囚われ続けてきた自分を、最後の最後に超えることに成功します。そしてそのきっかけを作ったのは、成長した6人のニンニンジャーだったんですね。
そんな彼らの成長は作劇面だけではなく、戦闘面でも描写され続けていました。
序盤では天晴のワンマンプレーが目立った戦いであったり、個別バラバラな戦闘が印象強かったのですが、中盤では各々の強みを活かしたチームプレイが目立つようになり、天晴単体の戦闘は目立たなくなりました。
中盤から終盤にかけては、合図無しで抜群のチームプレイを繰り出す場面や、天晴以外の面々によるトドメが中心になります。
そして最終決戦では、1人ひとりが見事に戦えるようになっていました。復活した蛾眉雷蔵を八雲が一人で倒したり、孤軍奮闘でボロボロになった天晴を5人が助けたり、忍手裏剣無しで変身したりと(前の話でラストニンジャを手裏剣無しで変身させていたのがホント上手い)、ニンニンジャー6人の成長が目に見えて分かる様になっていたんですね。
そしてこれらの戦闘力向上描写の根拠となるような劇的な練習風景、特訓シーンなどは、思いのほか少ないんですね。あるのは地道で地味とも言える「日常の練習風景」でした。また、彼らは元々ライバル同士なので、各々が見えないところで日々練習している、とも考えることができます。つまり彼らの強さは「地道な努力」と「見えない努力」によって作られたものだったんですね。努力の積み重ねによって、圧倒的強さを持っていた天晴に並び立つような、そして天晴にはできない事を生み出すような、そんな実力を付けていったと解釈することができます。熱いなーこれ‼‼‼
過去を糧にし、今を超え、新しい未来へ進む…これぞ正に「成長」です。ニンニンジャーの6人は、最初とは比べ物にならないほど成長しました。そして彼らが名乗る通り「忍びなれども忍ばない」「忍びなれどもパーリナイ」つまり、固定概念に囚われない強さを持った人物になっていきました。これは、とても勇気づけられるお話だったと思うんですよ。どんなに力の差があっても、どんなに年老いていても、地道な努力を重ねて、過去の経験や学びを糧にすれば、新しいことができるんだという…。
これほど誠実に、かつとても分かりやすくテーマを表現しきった戦隊だったんだなと、最終話を経てよりニンニンジャーを好きになれました。
他にも、毎回毎回見たことないような絵面で魅せてくれるアクションシーン、激アツ大フィーバーのトドメカットの素晴らしさ、キンジ・タキガワの影のあるキャラクター性、バリクソかっこいい必殺技の数々、チャレンジングなロボットデザイン等、語るネタは尽きないのですが…どうにもまとまらないので割愛します!
う~ん、見返してみても上手くまとまっていないというかとっちらかっているというか…総括というのは中々難しいですね…でも、地道にやって積み重ねれば何とかなるはず!そんなことを信じさせてくれる作品として、ニンニンジャーは思い出深い作品になりました。
ジュウオウジャーも「シンプル、原初性が持つ力強さ」というテーマを諸々のデザインから伺うことができるので、とても楽しみですね!
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