雑記:「特撮のDNA」訪問レポート ~近い距離感~


ワクワクもんですね。

光光太郎です。


今回は円谷英二特技監督の故郷、福島県で行われている


特撮のDNA ~円谷英二にはじまる「日本特撮」の魅力に迫る~


へ訪問してきたので、そのレポートを書いていきます。ゴジラ作品の撮影に使われたミニチュアや着ぐるみだけがあるかと思いきや、幅広い特撮作品展示の数々に度肝を抜かれましたよ!

※この記事は私の記憶と図録を元に書いているので、実際の展示内容と異なる点があるかもしれません…。


↑大まかな展示概要、料金などはこちらの公式サイトで。

↑会場までのアクセス。タクシー一択です…。


今回の展示は地元の新聞社が主催にまわっており、開催前から告知やインタビュー記事等を載せていました。開催後も来場者のインタビューと展示物の写真を毎日載せており、地域をあげて盛り上げていることが伺えます。ネットでも少し見ることが出来るので、リンクを載せておきますね。


特撮のDNAに関する福島民友記事


一面チラシ


会場は福島ガイナックスのさくら遊学舎。かなり辺境の地にありますが、実家が近くにあるので簡単に行くことが出来ました(妹の運転で)。

会場と言っても以前学校だったところなので、道路からの入り口はこんな感じです。


周りの景色も爽快です。室内展示で目を酷使する前に、青と緑の広大な風景で目をリラックスさせましょう。2次元情報である写真やネットの画像ではなく3次元情報の風景を見ると、空気や物体というレイヤーが立体的に重なり合っていることがよく分かります。この様な「2次元と3次元の認識の違い」を、今回の展示では再認識することが出来ました。


目をスッキリ爽快にした後会場へ入っていきます。この建物の前には運動場や体育館がありました。



1200円の料金を払い、展示へ。生物の教科書の様な特大POPの後に「ご挨拶」の文章がありました。「特撮とはアナログ技術のみを指すのではない」とハッキリ書かれており、この展示が回顧主義を目指しているものではないとよく分かります。


会場が元々小さな学校なので展示スペースはそれほど広くないですが、それぞれ密度の濃い展示が大まかに10のブロックに分かれていました。順番は次の通りです。


①ピクトリアル・スケッチ

②メカニックミニチュア

③メカゴジラ2撮影スペース&福島民友号外

④特技監督インタビュービデオ

➄ジオラマワークショップブース

⑥平成モスラ

⑦ゴジラシリーズ

⑧イラスト集

⑨ゴジラ玩具部屋

⑩合成技術


これらの感想を順を追って書いていきたいと思います。


①ピクトリアル・スケッチ

ここでは撮影前に作品イメージや撮りたい映像のイメージを絵に書き起こしたものが展示されていました。当時の制作現場の写真からは膨大な量のピクトリアル・スケッチを壁に貼って話し合う様子が確認できたので、今で言う絵コンテの様に使われていたのでしょう。

展示されていたのは「宇宙大戦争」「マタンゴ」「太平洋の嵐」「ガス人間第一号」「モスラ」「世界大戦争」「妖星ゴラス」「日本誕生」「海底軍艦」「宇宙大怪獣ドゴラ」等、1960年前後の作品達のピクトリアル・スケッチ。実際のショットに限りなく近いものもあり、作品作りの指針となっていたことが実感できます。

作品ごとに描き手が変わっていて、注力したい場面や作品イメージがかなり異なります。「海底軍艦」や「宇宙大戦争」ではミニチュア特撮の見せ場が壮大に描かれているのに対し、「ガス人間第一号」は人物描写が繊細でした。「日本誕生」は特撮の見せ場であるはずのヤマタノオロチがえらく適当に描かれていましたが、あれはアクションの激しさを伝えるものだったのかどうか…。

注力する場面が異なっていても、絵1枚で1シーンを表現しているので伝わってくる熱量や絵面の迫力には凄まじいものがあり、イメージの共有以上に「これを映像化したい!」という

心の結束を促す側面もあったのかなと。



②メカニックミニチュア

1番長く見ていた、それも食い入るように見ていたブロックですね。

ムーンライトSY-3号のイラストポスターから始まり、ゴジラ作品だけでなく幅人い特撮映画や特撮TV番組で使用されたメカニックのミニチュアが所狭しと展示されていました。このブロックに限らないことですが、実際に撮影で使用されたものだけでなく、撮影用モールドを元に製作したものやオリジナルモデルを再現したレプリカ等もありました。

最初に見えるのは東宝特撮映画で活躍した宇宙船達。「宇宙大戦争」「妖星ゴラス」における宇宙船は流線型ボディの美しさに見惚れていましたが、ランディングギアやロケットエンジン等、シンプルな造形の中に光るメカニカルな要素が堪らなかったですね。「怪獣大戦争」「怪獣総進撃」ではメカニカルな造形と流線型のボディのバランスが絶妙で、特に「怪獣総進撃」におけるムーンライトSY-3号は圧巻です。それまでの宇宙船とは一線を画す非常にメカニカルなデザインであるものの、流線型ボディと同じように船首へ流れが集約されていく造形でもあるため、美しさと力強さを兼ね備えていました。先ほども書きましたが、実物を目で見る、3次元情報として認識すると、造形の捉え方が全く異なります。360度様々な角度から見ることが出来る展示のされ方だったため、舐めるように見ていました。傍から見たら完全に変態でしたね…。


以降の特撮映画ゾーンでは「海底軍艦」における轟天号や「惑星大戦争」での轟天と艦載機、ゴジラシリーズでのメーサーメカニック、戦争映画での零戦等、様々なミニチュアがあり、劇中で数秒しか映らないものがどれほど精工に作られているかをまじまじと観察できました。

その中でも時間を忘れて見入ってしまったのは「ガンヘッド」の撮影用オリジナルモデルと「怪獣プラネット」のアース号。ガンヘッドは無骨で細かいメカニック部品の数々によって情報量過多なリアルマシンであることを印象付けますが、アース号は視認しやすい大まかな造形の中にモールドとメカニカルな要素が隠されていてウルトラ作品の戦闘機の様な魅力がありました。パーツの集まりであるリアルなガンヘッドと、面の集まりであるヒロイックなアース号。路線は異なりますが、どちらにも込められているメカニックへの情熱は、見るものを等しく熱くさせます。アース号は子供にも大人気でした。


続いては特撮TV番組「超星神シリーズ」の展示です。このシリーズは東宝とコナミが連携して作っていたため、東宝特撮イズムが随所に炸裂するヒーロー番組でした。

ここには撮影で使われた戦闘機のミニチュアやマスク、ロボット、小物などがありましたが、何より目を引くのは「超星神グランセイザー」におけるダイロギアンの展示です。撮影用の小型ミニチュアとマスクのみの展示でしたが、映像で見た格好良さの8割増し位にカッコいい!特にマスクはどの角度から見ても3次元としての格好よさ、つまり力の流れやグググっと迫ってくるようなラインを持っているんですね。



③メカゴジラ2撮影スペース&福島民友号外

メカニックを抜けると、またメカニックがありました。撮影に使われたメカゴジラ2の着ぐるみです。何故か「ゴジラ対メカゴジラ」のポスターと一緒に展示されていますが、ご愛敬でしょう。ここでは福島民友の企画も行われていて、メカゴジラと一緒に写真撮影をすることが出来ます。撮影してもらった写真は福島民友号外としてその場でプリントアウトされ(Excelを使ってました)展示場に飾られていきます。既に多くの号外が発行されており、多くの家族連れや子供達がこの展示を楽しんでいる様子を見ることが出来ました。

それではここで撮影した写真を何枚か載せていきます。



④特技監督インタビュービデオ

東宝特撮の特技監督である中野昭慶さん、大森一樹さん、樋口真嗣さんが語る特撮への思いや、特撮のDNAへのメッセージ等が上映されていました。内容は濃いものだったのですが、音が小さい上に周りの雑音が大きいので聞きづらかったですね…。図録にもその内容が載っているのが救いです。また、シン・ゴジラの予告編も上映していました。(3DSでモンハンしてる野郎がいましたが、回復薬を全部無くしてやろうかと思いましたね。)



➄ジオラマワークショップブース

数々のミニチュアやジオラマを見ると、実際作ってみたいと思うのが人の性。ここでは1回300円で好きなミニチュアを作ることができ、ゴジラがいるジオラマへドンドン置いていくことができました。材料と言っても模造紙や紙粘土、ボール紙といった小学校の工作レベルのものですが、ジオラマを見てみると凄まじい量のミニチュアが!それぞれアイデアが凝らされていて、中には巨大特撮を意識したものもありました。

ここも撮影OKだったので、幾つか写真を。



⑥モスラシリーズ

子供達によるジオラマで感動した後は、昭和から平成までのモスラシリーズの展示がありました。映画のポスターアートや小美人のミニチュア(!)、サイズ検討用の図面等を始めとした小物が多くありましたが、目玉は撮影で使われたモスラミニチュアやキングギドラのギニョールでしょう。映像では生き物の様に思えるそれらですが、実際目にすると「作り物」であることがハッキリわかるんですね。これらに命を吹き込む演出の素晴らしさに改めて感服します。

しかし、可愛いモスラ造形の数々にホンワカしたのもつかの間、モスラ対ゴジラのバヤリースタイアップポスターで恐怖のどん底に落とされるんですねぇ…。私達が見ていたものは人類の守護者でもペットでもなく、守るためには手段を選ばない獰猛な巨獣であることを再認識させてくれます…。



⑦ゴジラシリーズ

歴代ゴジラの姿を並べたボードで迎えられ、遂にゴジラシリーズの展示が始まります。初代ゴジラから昭和ゴジラまでのミニチュアは多くありませんでしたが、その殆どが撮影で使われたものでした。またオリジナルではないものの利光貞三さんによる初代ゴジラ胸像の迫力は凄まじく、サイズ感もあって「放射能で化物に変わってしまった人間」の様な痛々しさを感じました。そもそも明るい場でまじまじと初代ゴジラを見ることが無かったので…ケロイド状の肌というのを初めて「実感」しましたよ…。

他の昭和ゴジラ展示物は「電飾が施されたヘドラの目」「メカゴジラ2の内部頭脳」「チタノザウルスの頭部」等といったキワモノが多く、特に天井につるされた「ジェットジャガーの飛び人形」にはビックリ…。

VSシリーズの展示物は再現物が多めでした。リトルゴジラの着ぐるみやベビーゴジラの色違いモデル等に始まり、次が生首シリーズ。ゴジラザウルスの頭部、84ゴジラの頭部メカニック、バトゴジの頭部、ビオランテ職種の頭部、メカゴジラの頭部、MOGERAの頭部、VSメカゴジラでのラドン頭部雛形、ラドン頭部、ファイヤーラドンの頭部、スペースゴジラの頭部、デストロイアの頭部(爪も一緒に飾られていたのでピースしてるみたいでした)、GMKゴジラとバラゴンの頭部、機龍ゴジラの頭部、頭部頭部頭部…怪獣の生首が並ぶのは異様な光景でしたが、どれもこれも最高にカッコいいので問題なしですね。そのラインにビオランテ本体のミニチュアがあるのもグッド。


VSシリーズの展示を抜けると、また撮影スペースが。ここではメガギラスゴジラの着ぐるみとレインボーモスラのミニチュアがジオラマと共に展示されていました。ここでも写真を何枚か…。

まぁこういうアングルで撮ると盗撮魔みたいな格好になりますね…男女を問わず皆してましたが(笑)。


この後はミレニアムシリーズの展示となり、GMKのアンギラス、バラゴン、バランの雛形には神々しさがありました…。その隣で床に寝ているゴジラの骨には、なんというかこう…日曜日のお父さんらしさがありましたが(笑)。



⑧イラスト集

売店の方へ向かうと、プラモデルの箱絵やライナーノート、ソノシート等のイラスト集展示が。本編とは似ても似つかな…アレンジされた怪獣達は、何とも言えない愛くるしさがあります。描かれているのは惨状が多く、ド迫力な絵面ではあるんですがね…。共演しないはずの怪獣達が一緒にいたり、エビラが海面から飛び上がっていたりする絵もあるので必見ですよ!



⑨ゴジラ玩具部屋

ちんまりとしたスペースですが、特オタ必見のブロックです。昭和チックな部屋の棚に並べられたソフビの数々、ハコ玩具、超合金、エヴァカラーの機龍等、凄まじい量の玩具がありました。特にVSシリーズ時代に販売されていたハコ玩具に心躍ってしまいましたが、販売しているわけでもなく、また図録にも載っていないので、じっくり見て目に焼き付けましょう!



⑩合成技術

階段を上りゴジラシリーズの映画のポスターが並んだ廊下を歩くと、合成技術のブロックがあります。どう合成するのかを懇切丁寧に紹介するボードと共に、東宝特撮作品における合成技術を紹介するビデオが上映されていました。初代ゴジラから東京SOSまで、アナログからデジタルにかけて様々な技術を通して見ることが出来ました。これは図録に付随していませんし売店でも売られていないので、目に焼き付けましょう!




ゴジラを始めとした様々な特撮作品のミニチュアや着ぐるみ、イラスト等の展示があった「特撮のDNA」。ここで書いた以上に様々な展示物があり、3時間いてもまだまだいれる位に濃い内容でした。幼い頃から観ている特撮作品に出てくるミニチュアや着ぐるみの実物を見る機会が無いというのもありますが、私が今回の展示で最も惹かれたのは「距離感」です。地域と絡み合った広報や企画、アットホームな展示場によって作られた「距離感」は美術館や博物館で見るのとは異なりました。その分環境は良いものとは言えませんが、気負わずマイペースに見ることが出来たんですね。「距離感」が丁度いいためか、特オタや大人よりも家族連れや子供のお客さんが非常に多くいて、子供達ものびのびと展示物を見ていました。


これは、とても嬉しかったんですよ。作品や展示物よりも、地域や来場者に近い「距離感」で展示をすること…それを「特撮」というジャンルで行ってくれたことが何よりも嬉しい。福島民友における来場者のインタビュー記事を読んでも、それぞれのリズムで楽しまれていたことが分かります。特撮のDNAを見に福島に来た際には是非図書館にも寄って頂いて、福島民友を読んでみて下さい。


振り返ってみると、今まで見た様々な展示の中でも1番楽しかったかもしれません。「自分の展示」だと思えたからかもしれませんね。

10月2日までやっているので、是非1度訪れてみて下さい!!


ここからは写真をひたすらのせていきますよ~。





シン・ゴジラの感想も合わせてどうぞ。

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