ごきげんよう。
光光太郎です。
以前投稿した記事でも書いているのですが、私は12月に公開される「007/スペクター」の為に007シリーズを色々と観ています。このシリーズ、作品ごとにかなり様相が異なるので観ていて面白いですね。
今回は最近観た1969年の映画
女王陛下の007
の感想を書いていきたいと思います。ショーン・コネリーからボンドを引き継いだジョージ・レーゼンビーの「最初で最後のボンド作品」です。
■あらすじ
宿敵ブロフェルドを捕らえることを目的としたベッドラム作戦を遂行中のボンドは、ポルトガルで偶然トレーシー(テレサ)という若い女性と知り合った。美しく、そして車の運転やギャンブルなどで大胆な行動力を見せる彼女に、ボンドは興味を抱く。
彼女は犯罪組織ユニオン・コルスのボスであるドラコの一人娘だったが、不安定な生活を送る彼女の身を案じたドラコは、ボンドにテレサと結婚してくれるよう頼み込む。ボンドはこの機会を利用し、ドラコからブロフェルドの情報を得ようとするが…。
(大部分をWikipediaより引用)
■概要
「ゴールドフィンガー」以降のお気楽エンタメとしての007から一転、シリアスで緊張感に溢れ、それでいてスペクタクルがある「大人のエンタメ」としての007になっていました。
このシリアスな007の立役者は、なんといっても主演のジョージ・レーゼンビーさんでしょう。1代目のショーン・コネリーと比較して、落ち着いた雰囲気とガッチリとした体つきが特徴的です。アゴだけの初登場も、不敵でダンディな演出であったと思います。これが最初で最後の作品となってしまったことが残念です。関係ないですが、私の中でのショーン・コネリーは何と言っても「リーグ・オブ・レジェンド」ですね。
■感想
面白いと思ったところをまとめると、次の3点になります。
①続く緊張感
②壮絶アクション
③思わず声が出てしまうシーン多数
順に説明していきます。
①続く緊張感
そもそも「007」というシリーズは、大衆向けの娯楽作品として愛されてきていました。なのでこの「女王陛下の007」以前のシリーズでは、2作目の「ロシアより愛をこめて」以外は正に「冒険活劇」とでも言うような「お気楽アクション映画」でした。この作品にはそういったシリーズの方向性とは異なった、リアルで地に足ついたサスペンスアクションをやるぞ!という気概が詰まっていたように思います。
ヒロインであるトレーシーのキャラクターやボンドとの関係は、常にこちらの興味を惹かせるように物語の各所に散りばめられています。ボンドがトレーシーの事を本気で愛するようになった(と私は思っている)「スケート場での救出」のシーンでは、思わず鳥肌が立ちました。トレーシー、いいキャラでしたねぇ…。
宿敵「スペクター」の基地への潜入では、ばれるかばれないかサスペンスで緊張感を持たせてくれます。衣装は爆笑ものですが…。潜入から脱出までのボンドがほぼ丸腰であることも、ハラハラする要因の一つですね。
心理的な緊張からアクション面での緊張まで、手を変え品を変え観客を飽きさせない話運びとなっています。
②壮絶アクション
この作品で私が唸ったアクションシーンは「ケンカバトルアクション」「スキーチェイス」「カーチェイス」です。
「ケンカバトルアクション」はショーン・コネリーの「サンダーボール作戦」でもかなり際立った魅力の部分でしたが、今回でも大きな魅力となっています。特に序盤の黒人刺客との戦いですね。確かに本当に取っ組み合いの戦いが起こったら周りを使いまくりますよね。
私はスキーを多少かじっているので「スキーチェイス」は食い入るように見入っていました。サラッとやっていますけど「山中スキー」「ボードだけで滑る」「スキーを履いた状態でのキビキビした動き」は相当難しいはずです。日光のもとでのスキーシーンは美しいの一言につきます。あの雪崩も本当に起こしたのでしょうか…。本作随一の大スペクタクルシーンです。
ボンドが追われる場面での「カーチェイス」は、途中から思いもよらない展開になっていきます。こういった何が起こっているか把握しきれない事態に自ら突入していく様は、現代のダニエル・クレイグボンドにも脈々と受け継がれていますね。必見です。ご愁傷様…。
③思わず声が出てしまうシーン多数
これも現代にしっかりと受け継がれていますね。「カジノ・ロワイヤル」でも「慰めの報酬」でも何度「えっ!?」と声を出したことか…。
ネタバレしたくないので、ヒントになる画像を置いておきますね。
次は、逆に残念だと感じた部分を書いていきます。主に次の3点ですね。
①タイトルシーンがグッと来ない
②相変わらず女たらしなボンド
③顔がゆがむ敵の大将
①タイトルシーンがグッと来ない
007シリーズといえば、あのかっこよくもあり、渋くもあり、変態的でもあるタイトルシーンが有名ですね。いわば作品の「顔」とも言える部分です。ガンヴァレルではないですよ。
ただ、今回の「女王陛下の007」のタイトルシーンはなんというか、こう、グッと来るものが無かったんですよね…。鮮やかな色と女性シルエットというのは「サンダーボール作戦」のものが素晴らしかったので、どうしても見劣りしてしまいます。「時計」のイメージは上手いなと思いました。
②相変わらず女たらしなボンド
あった直後に女と寝る男として有名なボンドですが、その点は結構相変わらずで…。特に敵地でやられるとげんなりしてしまいました。というかお前には恋人がいるだろ!!まぁ「まだ惚れきっていない」という表現だと思えば、その点については納得できますが…。
③顔がゆがむ敵の大将
今回は敵組織「スペクター」の首領であるブロフェルドが登場し、ボンドと直接対決するのですが、苦悶の表情を浮かべるシーンが多くあります。役者さん自身がどこか優しそうなのも相まって、正直全然怖くありませんでした。悪の首領、しかも全世界規模の組織である「スペクター」の首領としては残念すぎる描写が多かったですね。「ロシアより愛をこめて」や「サンダーボール作戦」の頃の威厳はどこへやら…。前シリーズよりも組織規模が小さく思えてしまうことも残念です。
感想を振り返ると、
面白い所
①続く緊張感
②壮絶アクション
③思わず声が出てしまうシーン多数
残念な所
①タイトルシーンがグッと来ない
②相変わらず女たらしなボンド
③顔がゆがむ敵の大将
となります。全体としてはとても楽しめた007作品であったと思います。お勧めです!
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