映画感想:映画 プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法! ~今を楽しむ子供達の為に~


ワクワクもんですね。そして、私は堀北真希のファンです。

光光太郎です。


最近Amazonプライム会員になりまして、007の吹替えばかり見ております。最初は「仮面ライダーアマゾンズだけ見れればいいや」と思って加入しましたが、これが意外と充実したラインナップで驚きでした。なんてったって日本映画のジャンルで「ヤクザ」がありますからね。


そんな今回、感想を書くのはプリキュア映画20作品目


映画 プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!


です。公開2日目に行きましたが、結構人が入っていました。


■あらすじと解説

「プリキュア」劇場版の記念すべき通算20作目で、歴代プリキュアが総登場する「プリキュアオールスターズ」シリーズの8作目。2016年2月放送開始の「魔法つかいプリキュア!」から、主人公のみらいとリコも登場する。シリーズ初の本格ミュージカル作品として製作され、多数のミュージカルを手がけてきた作詞家・作曲家の森雪之丞が、ミュージカルプロデュースを担当。人間界に遊びに来たみらいとリコだったが、突然現れた魔女ソルシエールとその仲間トラウーマの魔法により、離れ離れにされてしまう。悪の魔法を完成させるため「プリキュアの涙」を狙うソルシエールらに対し、44人のプリキュアが友情を武器に立ち向かう。(映画.comより引用)


■概要

プリキュアがどんなものであるかは、以前簡単にまとめているのでそちらを参照してください。また、今回の記事では「プリキュアオールスターズというシリーズが、これからどう子供達に向き合っていくか」についても、意見をまとめていこうと思います。これはプリキュアという物語作品自体のことであり、異端から王道へと認識が変化したプリキュアという商材をどう扱うか、ということでもあります。

現在プリキュアシリーズは12年目に突入し「魔法使いプリキュア」が放送されていますが、今回の映画は「プリキュアオールスターズ」という形式です。映画の概要に入る前に、プリキュアオールスターズという映画について説明したいと思います。


プリキュアオールスターズとは、歴代プリキュア達が集合し、一緒に活躍する映画シリーズのことです。9年前から始まったシリーズであり、当初は「全てのプリキュアに見せ場がある」作品(DX~DX3)でした。

女子中学生にドラゴンボールばりのアクションと劇場版カウボーイビバップ並みの格闘をさせるという、女児向けアニメの異端中の異端として始まったプリキュアが子供達に受け入れられ「積み重ねた歴史」を主軸にした物語を作れるようになるとは…。最初はDXだけで終わる予定だったらしいのですが、人気を受けて毎年作られるようになったそうです。ここでもまた、異端の作品が歴史を積み重ねていくんですね。

10~20人規模の声優さんが集まり、頭身もデザインタッチも全く異なるキャラクター達が一堂に集結し戦う様は、正に圧巻という他ありません。現在の目で見ても、映画用にアップデートされた戦闘シークエンスに関しては、全く見劣りしないでしょう。

(DX時は14人)


しかし、DX3の時点でプリキュアは21人となっており、音声収録も作画も作劇も困難になっていきました。その為、新プリキュアと一代前の先輩の交流を中心としつつ、オールスターズの活躍を描くようになります。その結果、台詞や活躍が少ないプリキュアも多くなりました。(NS~NS3)。

(NSで27人に。3年で2倍である。)


NS3でプリキュアは38人となり、もはや従来の「全てのプリキュアに見せ場がある」を貫くことは不可能な領域でした。そして、昨年公開された「春のカーニバル」では苦肉の策として「過去作品の楽曲を使ったミュージックビデオをMステ形式で流すが、物語作品にもする」という方式に。もはや作劇として破綻した作品となっており、理解力のあるプリオタしか楽しめないものでしたが、「全てのプリキュアに見せ場がある」という初期コンセプトを守るには、最早この手法しかないのでは…と、大人としては考えたくなる状態でした。

しかし、劇場の雰囲気は決して良くありませんでした。それは当たり前で、子供達は最近のプリキュアしか知らないのに、自分が生まれる前に活躍していたプリキュアのミュージックビデオを大画面で観せられているのですから…。正直、劇場にいてとても気まずかったです…。そもそも成人男性が女児向けアニメの映画を観に来ているという時点で気まずいのに…。EDで流れた幼児ダンスビデオもクオリティは低く、より気まずく…。

(春のカーニバルで41人。圧巻。)


最初、一回きりのお祭り、異端として始まったオールスターズでしたが、続けるにしたがってその歴史も膨大に、異端のコンセプトが王道的になっていき「今プリキュアを見ている子供達」を置いてけぼりにする「オタク向け作品」になっていったことは明白でした。もうオールスターズは無理して作らなくても…そう思っていたところに今回の「奇跡の魔法」が「バトルミュージカル」という、あまりにも謎すぎるコンセプトをぶち込んできました。不安でした…。また「春のカーニバル」のようになるのでは…。


しかし、その不安は全くの杞憂だったと断言できます。


今作こそ、今プリキュアを楽しんでいる子供達の為に作られた、新しいオールスターズ映画の形を打ち出していたんです。その根拠としては、「現行シリーズの物語として作られていること」「筋のある物語作品を、分かりやすい演出で面白くする」ことの2つがあります。

そして、この2つの要素を持って、プリキュアという「歴史あるシリーズ」への興味の入り口とする…それが、新しいプリキュアオールスターズのコンセプトになるのではないかと。そう思ったわけです。

従来のプリキュアオールスターズでは「オールスターズの世界に新プリキュアが入り込む」形式でしたが、今回は「魔法使いプリキュアの世界にオールスターズが絡む」というものに。先輩プリキュアの活躍はプリンセスプリキュアからドキドキプリキュアまでの全メンバーと、過去作のピンクプリキュア、中心人物のみに絞られており、その活躍も短い時間に強烈な印象を残すものでした。

つまり、映画の大部分は魔法使いプリキュアの活躍というバランスだったんです。魔法使いプリキュアの二人を主軸に、テレビ本編ではあまり描かれていなかった「プリキュアとして戦うことの厳しさと意義」を、二人が先輩プリキュア達から教わるという物語になっていたんですね。

魔法使いプリキュアの1人であるキュアミラクル(画像左)が呟く「なんで私がこんな目に…」という弱気な台詞は、テレビ本編で見せるどこか常人離れした姿ではなく、やはり普通の女の子であると思わせる台詞であり、これ以上ない程「プリキュアらしい」ものでした。また、苦戦する中で別れ別れになってしまったキュアミラクルとキュアマジカル(画像右)が「友達とお花見をするために頑張る」「お互いがいれば頑張れる」という、正義や愛というお題目ではなくて、あくまでも個人として、半径1メートルの話題で再起することも、プリキュア=普通の女の子らしいです。こういった「小さい女の子でも共感できる思い」を抱えて戦うからこそ、子供達に受け入れられているのだと思います。そして、等身大のヒーローの物語であるからこそ、大人たちもドラマを感じてしまうんですね。

「奇跡の魔法」はお祭り映画である以上に、新人プリキュアがプリキュアとして成長する「魔法使いプリキュアの物語」でした。


その分過去プリキュア、特に5GOGO以前のプリキュア達には殆ど見せ場が無く、いるだけ参戦の状態になってしまい…。ピンポイントで攻める演出はありますが、過剰に期待して行くと面食らうどころではないので注意です。

②筋のある物語作品を、分かりやすい演出で面白くする

何を当たり前の話をしているんだと思われるかもしれませんが、子供達の為の映画作品として、これが出来ていないとお話にならないんです。いくらテーマ性が高くとも、いくら作画が素晴らしくとも、いくら「そのプリキュアらしいこと」をしても、子供が楽しめる作品にはならないんですね。

そして「奇跡の魔法」は、小難しいことやプリキュアシリーズとしての歴史の重みというよりは、子供が笑顔になって楽しめる演出が散りばめられた娯楽作品でした。ここは笑いのシーンだ!というところで、しっかり劇場が笑っていたんです。それが何度も何度もあるんですが、百発百中。寒くもないし、気まずくない!!!

プリキュアシリーズはいつもスマッシュするギャグを持っていますが、それはあくまでもTV向けのギャグであって映画向けのギャグではないと感じていました。しかし、今回はギャグの勢いが段違いでした。怒涛のお惚けノンストップ体当たりギャグです。

主に中盤に登場する4人のピンクプリキュアチームがこれを行うのですが、登場から退場まで、カッコいい所はあるけど基本全てギャグで突っ走ります。名乗りも必殺技も何もかも全てギャグ。でも、それが「キャラクターらしい」ギャグになっているのでプリオタは満足だし、とにかく画が動くし表情はコロコロ変わるし声はデカくて勢いがあるので、子供も両親も大爆笑。言語によるギャグではなく、表情と動きで魅せるギャグだったんですね。

また、多くのプリキュアが檻に閉じ込められているというショッキングなシーンがあるんですが、その状況すら積極的にギャグにする姿勢。しかも全部が全部、劇場全体がウケるんですよ。凄まじいと言わざるを得ません。

そして、今回最もキていたギャグを担当するのが「妖精」達です。もう、冒頭からキていました。可愛い狂気、まさにそれが炸裂。プリキュア達のギャグはまだ「理解して笑う隙」があったんですが、妖精たちがぶち込んでくるギャグは、人間の理解力や認識力に風穴を開けるものでした。しかしこれも前述したギャグと同様に非言語描写によるギャグだったので、どんな人でも素直に笑えるものに…いや…シュールな笑いもあったので一概には言えないかもしれません(笑)。



寒くない演出と言えば、あまりにも謎だった「バトルミュージカル」という文句ですが、これが鑑賞に堪えうる、子供だましではないミュージカルになっていたんです。それもそのはず、今回のゲストキャラクター2名には、舞台経験者である新妻聖子さんと堀北真希の夫が声を当てており、歌唱シーンでは思わず圧倒されてしまいました。この配役からも分かる様に「奇跡の魔法」ではミュージカル、歌を真っ当にやるんだという気概が込められているわけです。そしてこれは単なる拘りではなく、しっかりと「子供達への配慮」でもあり、物語の軸でもあったんですね。

歌で感情や状況を説明するシーンが多いため、台詞ではなく曲調で、暗いのか、明るいのか、決意なのか、泣きなのかという、場面のテンションが分かる様になっています。また、プリキュアの映画ではほぼ毎回「ミラクルライト」というものが配られるのですが(小学生以下対象)、これは劇中で「プリキュアを応援しよう!」と言われた時に使用するものです。今回は応援シーンでも歌がずっと歌われているので「歌に合わせて」ミラクルライトを振るよう促していました。今までは「応援しよう!」と言われても場面は進行していくので、子供達の中で「今は振ってもいいのかな…?」という疑問が起きていたと思うのですが、歌に合わせて振るという言葉1つがあるおかげで、ずっと力強く降っていました。歌のリズムがあるおかげで振り方が分かりやすくなったことも、映画との一体感が生まれる要因になっていたと思います。

そして「ミュージカル」というテーマを活かし、1つの歌が物語の重要な軸となっています。1つの歌を通して物語が展開していきますし、この物語を通して「歌」という存在の温かさ、「歌うこと」の力強さが表現されていました。端的に言えば「歌えば元気になれる」ということなんですが、これは下手な描き方をすれば失笑ものです。しかし「歌」「歌うこと」が持つ力が徐々に徐々に、こちらが感情移入できる速度と演出で盛り上げてくれるので、それらを信じられるようになっていたんですね。



映像も分かりやすく、音楽でもストーリーが分かり、勢いのある非言語ギャグが満載…誰もが単純に楽しめ、笑い、泣ける要素がてんこ盛りです。また、今まで見た中で最も劇場の雰囲気が良いプリキュア映画でした。子供は笑い、親は泣き、プリキュアファンは歓喜するという、最も良い形の「プリキュア映画」の演出法だったと思います。


ただ、敵がかなり強力で基本苦戦続きなので、爽快さはあまりありませんでした。物語中盤はとにかく勝てない戦いが続くので、ここだけ少し飽きてしまうかもしれません。戦闘も特殊技を使うことが少なく、ドラマはあったとしても単調と思えてしまいました…。

子供達が単純に楽しめる内容が徹底されていたため、「プリキュアは面白い!」と思ってくれる作品になっていたと思います。「あのプリキュア観たい!」と言って、過去のシリーズを見ることもありそうです。春のオールスターズ映画が「ファン向け作品」から「初心者の入り口作品」へ変わる作品であったと言えるでしょう。これからプリキュアオールスターズは「オールスターズであること」に囚われることなく、「プリキュアシリーズの入り口」として機能していって欲しいですね。昔ではなく、今を一生懸命楽しんでくれている、子供達の為にも。




■感想

それではここからは、超個人的な感想を書いていきたいと思います。まずは面白いと思ったことから。

①堀北真希の夫の怪演

②曲がいい

③ドキドキチームの作画


①堀北真希の夫の怪演

この作品に大きな魅力を持たせているのが、何と言っても堀北真希の夫の怪演です。彼無くして、この作品はあり得なかったと言っても過言ではないでしょう。

最初はごく普通の演技をみせていましたが、序盤に凄まじいミュージカルシーンを叩きこんできます。「これは…ガチの発声だ…」そう思いましたね。あそこから、この作品に流れるどこか異常な、振り切ったギャグの雰囲気が蔓延していったのでしょう。終盤における豹変以降の演技も化け物悪役らしいアクセルの踏み込みっぷりで、デザインも含めて女児の心に少なからずトラウマを残したのではないでしょうか。彼は子供向け作品だと馬鹿にすることなく、全力の演技を魅せてくれていたと思います。心の中で拍手を送りましたね。堀北真希の夫に。

そして、やはり私としては、彼が演じるトラウーマを少なからず堀北真希の夫自身と捉えてしまいます。トラウーマ=堀北真希の夫として観てみると、彼が妖精と劇場中の女児達から全力でミラクルライト攻撃を受けている様は、もう堪りませんね。爆笑ですよ。最後、プリキュア達からハート状のエネルギーを受けて浄化されていく彼の姿は、いったい何の比喩なんですかねぇ…。これを堀北真希の夫は堀北真希と一緒に観ているそうですからね。その光景を思い浮かべてもですね、笑ってしまうわけですよ。

私は堀北真希のファンでしたが、今回を機に堀北真希の夫のファンにもなってしまいました。



②曲がいい

まぁ聴いて下さいよ。「魔女の子守唄」も、舞台らしい広大さを感じる曲です。


③ドキドキチームの作画

全編を通して最も迫力ある作画は、序盤に繰り広げられるドキドキプリキュアのバトルでしょう。密度の多い映像にも関わらず美麗な線で描かれたプリキュア達のバトルは、映画でしか観られない豪華さと応用描写に溢れていました。大地をぶち破って登場するシーンのハッタリ加減も素晴らしいですが、ツタで縛られるシーンがやたら色っぽかったのは、少し気まずかったですね(笑)。



次に、残念だった点について書いていきます。

①序盤のミュージカルシーンの不自然さ

②画面奥キャラクターの作画

③打ち上げシーン不足


①序盤のミュージカルシーンの不自然さ

中盤以降こそは見事なミュージカルシーンが続きますが、冒頭に行われるものだけはかなり不自然であったと言わざるを得ません。いきなりミュージカルを始める魔法使いプリキュアの2人を、あたかも「いない」ように周囲が振る舞っていると思いきや、途中から周囲までミュージカルに入ってくるのです。最終的に周囲が参加するのは良いのですが、徐々に楽しそうに参加するとか、そういう順序を踏んで欲しかったです。ここでの作画が、やたらと腕が長いこと、踊りがどう見ても不自然なことも気になるポイントでしたね…。


②画面奥キャラクターの作画

テレビでは気にならないのですが、スクリーンという大画面で観ると、画面奥にいるキャラクターの簡略作画がどうしても気になってしまいます。そこがつなぎのシーンであったり、さほど重要でないシーンなら構わないのですが、ミュージカルシーン等でやられると少し冷めてしまいました…。


③打ち上げシーン不足

もっとお花見でワイワイ交流してくれ…!台詞なくてもいいから…!その為に頑張ったんだからさ…!


観る前は本当に、本当に不安でしたが、ふたを開けてみればプリキュア映画の中でもかなりの傑作と言える作品でした。これからのオールスターズのあり方を決定的に変える一作でもありましたし、これは来年の春も楽しみになってきましたよ!

プリキュアファンであっても、ここからプリキュアを観始める人にとっても、どちらにも胸を張ってお勧めできる映画でした!

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