私の「特撮」幼少期編 ~スパイダーマン(東映)~

ごきげんよう。

光光太郎です。


先日に引き続き、私の幼少期に痛烈な印象を残した特撮ヒーローについてサクッと書いていきたいと思います。


本日ご紹介するのは

スパイダーマン(東映)

です。





アメコミ映画といえばスパイダーマン、という位、アメリカのヒーローとして印象強いスパイダーマンですが、2002年の映画から遡ること24年前、この日本で特撮ヒーロー番組として放映されていました。

権利関係等の問題で長らく日の目を見ることができなかった作品ですが、1978年という一般的なCGもない時代に、ビル登りやロープアクション等のケレン味溢れる描写を数多く打ち出しました。そのアクションで原作者スタン・リーに「スパイダーマンの映像化作品としてずば抜けた傑作」(意訳)と言わしめています。また、スパイダーマンで有名な腰を落としたポーズは、この東映版から逆輸入された要素でもあります。日本の映像作り、ヒーロー作りは、後続のスパイダーマン映画に大きな影響を与えていると言えるでしょう。


レオパルドンは引き継がれませんでしたが…。




ですが、レオパルドンという「巨大ロボット」や作品フォーマット、そして音楽は後続のバトルフィーバーJ、スーパー戦隊シリーズに脈々と受け継がれていくことになっていきます。

(因みに、バトルフィーバーJも「キャプテンアメリカ」や「ミスアメリカ」といったアメコミから着想しています。ジャッカー電撃隊で途絶えていたスーパー戦隊の復活に、アメリカの様々なヒーローが関わっているというのは面白いですね。)



まぁこういったマメ知識レベルの細々としたことや作品の素晴らしさに関しては、上記のリンクで詳しく説明されているのでそちらをご参照下さい。また、「超合金の男」という本にはこのスパイダーマン(東映)に関する様々な経緯が企画者目線で語られているので、そちらもご参照ください。名著です。






では、ここから私の幼少期とスパイダーマン(東映)の関係について書いていきたいと思います。


先日の記事でも書いた通り私の父は特撮好きで、スパイダーマン(東映)の第一話と宮内洋氏が出た回、そして劇場版が入ったビデオを持っていました。私もそのビデオを繰り返し繰り返し、本当に繰り返し見ていました。今でいうBGVレベルです。


何故これほどゾッコンになったかというと、


①特徴的な主題歌
②怪奇性の強いハードなストーリー
③最強ロボ、レオパルドン


という三つの要素にやられてしまったからだと思います。順に色々と書いていきます。


①特徴的な主題歌

実際に聴いてもらうのが一番だと思うので、リンクを貼っておきますね。



「熱い、渋い、かっこいい」

三拍子そろった素晴らしい主題歌です。作曲しているのは渡辺宙明さんです。説明不要の大先生ですね。個人的には「マジンガーZ」のOPがとても印象的な方です。OPの映像も素晴らしいですね。後述しますが、この作品の怪奇性を強く押し出した表現や、レオパルドンの変形描写がしっかり描かれているところが良いですよね。

この日本版スパイダーマンは、冒頭において殺された父親の復讐のために「鉄十字団」との孤独な死闘に身を投じていくことになります。その悲劇性、孤独さを表すEDと歌詞、そしてアメリカらしさ炸裂のOP音楽は、幼少期に聴いても、今聴いても、心が熱くなります



②怪奇性の強いハードなストーリー



スパイダーマン(東映)を思い返してみると、明朗活発としたヒーローという印象は全くありませんでした。そもそものモチーフが「クモ」ですしね。

冒頭で父親が死に、主人公と「宇宙でたった二人の兄弟」というスパイダー星人ガリアも死んでしまい、復讐の為に不気味で残酷な「鉄十字団」に戦いを挑んでいく…暗い。暗いんです。とっても暗く、ハードです。


そして、敵怪人の造形は「恐怖、不気味」という言葉がぴったりなものばかり。幼心に、恐ろしげな音楽と演出によって怪奇性を帯びたそれらの怪人は、正に「モンスター」のように見えました。その強力な見た目の怪人に対してヒーローであるスパイダーマン(東映)はほぼ丸腰の全身タイツで戦わなければならないので、戦闘の緊張感は嫌が応にも増してしまいます。特に第一話の敵「マシーンベム暴君竜」は、5歳の私に大きなトラウマとあらがえないワクワクさを残してくれました。


丸腰徒手空拳で勝てるとはとても思えない…。この「どうやって勝つんだ…」感は、近年のスパイダーマン映画にも感じる魅力です。



③最強ロボ、レオパルドン





有無を言わせぬかっこよさ。


このレオパルドンはマーベル側からはすこぶる不評だったようですが、「超合金の男」でも語られていた通り、日本でのキャラクタービジネスにおいて「巨大ロボ」は外せない要素だったのでしょう。実際、劇中と同じ変形機構を持った「DX超合金 レオパルドン」は非常に売れたそうです。こうしたマーチャンダイズの手法を初めてキャラクタービジネスに持ち込んだのは、このレオパルドンをデザインした方なんです。大変面白い話なので、是非一度「超合金の男」を読んでみてください。名著です。



このレオパルドンに、幼少期の私はすっかりやられてしまいました。まぁ幼少期の私は「ロボットか怪獣が出ていない作品はクソ」という、偏りにも程がある価値観で生活していたのですが…。

やられた要因としては「色彩」と「異形さ」でしょうか。

黒を基調に黄色、赤といった、いわば「悪方の色」のヒーローロボというのが衝撃的でした。今の目で見てもこれが「子供向けヒーローロボット」とは思えない色合いです。

そしてパッと見でもわかる「異形さ」。グワッと裂けた口、蜘蛛の巣模様の胸やプロテクター等、恐ろしいとも言えるような造形の数々…。それに対して王道なスーパーロボット体型といったバランスを取ることで、言いようのない魅力を持った素晴らしいロボットになっていると思います。宇宙船形態の「マーベラー」も、その頭部にかわいらしさと神秘さを感じられる造形です。

まぁ細かいことはいいんですよ。前述した通り「有無を言わせぬかっこよさ」があるんですよ!一目瞭然でしょう?なので幼少期にやられていた私は、高校生になってから「超合金魂 レオパルドン」を買ってしまいました。このオモチャ、最高です。重いです。最高です。




こんな所でしょうか。

このスパイダーマン(東映)に触れていなければ、私がスパイダーマンというジャンル、そしてアメコミ映画に強い関心を抱くこともなかったでしょう。勿論、私は蜘蛛が好きですよ。


日本のヒーロー作品にとっても、スパイダーマンというジャンルそのものにとっても、そして私にとっても契機になった作品「スパイダーマン(東映)」でした。



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1コメント

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  • 光光太郎

    2024.07.24 06:38