映画感想:劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン ~大人も子供も楽しめる娯楽作品~



ワクワクもんですね。

光光太郎です。


今回は、今年に入って初めて劇場で観た「全年齢対象作品」である


劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン


のネタバレレビューをしていくのですが、まずはあらすじと鑑賞後のツイートをば…。そして未見の方はツイートで止まり、その後劇場で観てみて下さい!ウルトラマンが、怪獣が好きなら間違いなく楽しめるはずです!!

■あらすじ

太古の昔に地獄が封じられたと伝えられる芭羅慈バラジ遺跡――。

その謎に挑んだ強欲な男・黒崎(マイケル富岡)によって、

その封印が破られてしまった!

この世を地獄へと変える閻魔獣ザイゴーグの大復活!

その恐るべき力の前に、我らがウルトラマンエックスの光が消えてしまう。

地球はこのまま終わりを迎えてしまうのか…?

Xio隊員たちは、考古学者・玉城ツカサ(吉本多香美)と力を合わせ、

決死の覚悟でザイゴーグ封印のカギとなる神秘の力を追う。

絶望の中、ツカサの息子・ユウト(高木星来)の母への強い想いが奇跡を呼び――。

参上!ウルトラマン、ウルトラマンティガ!!

結集したウルトラヒーローたちと力を合わせ、ザイゴーグと怪獣軍団に総力戦を挑むXio。

死闘の火ぶたが、いま切られる!(公式サイトより引用)



■鑑賞ツイート

はい!未見の方はここまで!劇場へダッシュ‼‼‼(3月では未だ公開していないところが多いようですが…)









■概要

ひとまず私が抱くウルトラヒーローへの認識を示したいのですが、簡単に言うと「概念で捉えるヒーロー」です。

ウルトラマンが語るのではなく、ウルトラマンの姿や行動、そして物語そのものを受け手側が観て、感じ、人それぞれの「ウルトラマン像」が自然と作られてしまうような…そんな作品群なんですね。


そんな中で観てみたところですね…ツイートでも言いましたが、最高に面白かったですよ!!

「何故面白いのか?」その大まかな要因は「映像作品としての面白さ」「ウルトラマンXの続編としての面白さ」であると思います。



映像作品としての面白さ

「劇場版ウルトラマンX」は、怪獣の脅威に対してウルトラマンと人間が立ち向かう物語であることが事前から告知されていました。つまりこの作品は、「ウルトラマン作品」であり「怪獣映画」であり「娯楽ジャンル映画」であるという、映像作品なんですね。これらの要素が全て「え!そこまでやってくれるの!?」と言いたくなるような、サービス満点な作りになっていたんですよ!


「ウルトラマン作品」として

ウルトラマン作品とは、人とウルトラマンが協力して戦う物語です。

この作品で主役となるウルトラマンエックスは、Xio日本支部隊員の大空大地と「ユナイト」することで実体化することが出来るのですが、その正体は大地以外知る者はいませんでした。

しかしテレビシリーズの終盤において、事態の緊急性を鑑みたエックスはその正体をXio日本支部の全員に明かしました。そして日本支部の隊長は組織としてエックスと協力し、作戦行動を行っていきました。つまりウルトラマンXという作品では、人とウルトラマンの関係が「プロ同士の協力」として描かれているんですね。


そして今作では!その「プロ同士の協力」がこれでもかと映像面で炸裂しているんですよ!長回しワンショットで「怪獣と戦うウルトラマンを援護する戦闘員と戦闘機」を魅せるので…もう…!1つのスクリーンにウルトラマンが、怪獣が、戦闘員が、戦闘機が全部映っているんですよ!戦場で共闘するウルトラマンと人間という姿を、ここまでリアルに認識できたのは初めてかもしれません。

人が頑張り、ウルトラマンに託す展開ではなく、人とウルトラマンが肩を並べて戦う。初代マンから脈々と描かれてきた関係性ですが、この作品が1つの到達点になったと言っても過言ではないでしょう。

そして勿論、ウルトラマンがウルトラマンらしいことがウルトラマン作品の特徴です。

この作品では全部で8人のウルトラマンが登場しますが、主に初代マンとティガ、エックスの3人が活躍します。この3者が、正に三者三様の描かれ方をされているんですね。特に初代マンとティガは放送当時をそのまま再現するのではなく「美化された現在のイメージを映像化」しています。まぁ、ウルトラマンが胸筋をライザップしているのには驚きましたが…。また、それぞれのテレビシリーズ劇中音楽のアレンジBGMがかかった時にはもう…卒倒するかと思いましたよ…。


ある時期は不遇を過ごしたウルトラマン作品ですが、こうして映画館で観れること自体が幸せで、冒頭で涙ぐんでしまいましたよ…。


「怪獣映画」として

怪獣映画とは、恐ろしい怪獣に対して人類が立ち向かう姿を描く映画です。

今作では「ザイゴーグへの対処としての作戦行動」を物語の軸に据えているため、「平成ガメラ」や「平成ゴジラ」のような、正統派怪獣映画の雰囲気があります。


まず、ザイゴーグがとても恐ろしく、強い怪獣に見えるようにしています。

パッと見ただけで「こいつとは相いれない」と分かるデザインですし、登場後とてつもない煽りで巨大感を演出し、その後すぐ人に迫る映像が挟まれているため、観客が最初にザイゴーグへ抱く印象が「巨大怪獣への恐怖」になるんですね。日常視点から怪獣を見るシーンも多いので、セットではなく「現実に怪獣がいる!」と思ってしまいます。

そして強さの描写も徹底的です。エックスが強化変身したエクシードエックスを一方的に蹂躙し、サイバーゴモラを一撃で倒してしまいます。Xioの装備も時間稼ぎにしかならず、その上背中の棘から怪獣を生み出す能力を持っている…点での強力さだけでなく、面での戦略も併せ持つという、絶望的な強さです。その為、終盤にウルトラマン達が集結しても、人間とウルトラマンが死力を尽くしても倒せるか分からない相手に見えるんです。これは正に「怪獣映画の怪獣」らしい姿です。


そんな強力無比なザイゴーグに対して人間側は、持てる限りの科学力と知略を用いて立ち向かいます。解析から怪獣の弱点を探る過程や、深刻度に合わせたフェイズ別の対応、作戦行動が主軸になって進む作劇には、「空の大怪獣ラドン」や「平成ガメラ」を連想せずにはいられませんでしたね。

劇中で描かれる装備の数々が、しれっとテレビシリーズのその後を感じさせるものになっているのも「プロらしさ」を感じることができ、エックスらしいなと思えました。


「娯楽ジャンル映画」として

言わずもがなですが、今作は娯楽性を優先させたウルトラマン映画です。つまり、観客の多くは「かっこよく活躍するウルトラマン」を期待して観に来るわけですね。

今作では、盛り上がるところで超盛り上がる音楽を入れています。ヒーロー映画、ジャンル映画としては鉄板な演出ですね。しかし、これを効果的に行っている作品は意外と少ないと思うんですよ。また、最終決戦に向けて盛り上がれるように、幾重にも段取りをしています。怪獣軍団と向き合うウルトラマン、それを援護するために体制を整えるXio…こういった場面をしっかり見せてくれるからこそ、盛り上がりのボルテージが上がっていきます。

つまり今作は、盛り上がるべきところを素直に盛り上がれるようにしているんですね。当たり前と言えば当たり前ですが、娯楽ジャンル映画としてとても大切な要素です。



ウルトラマンXの続編としての面白さ

今作の予告からは「色んなウルトラマンが出る」ことが分かっていたため、昨年の様に娯楽優先お祭り的作品だと思っていたのですが、驚くほどに正統派な「ウルトラマンXの物語」でした。

ウルトラマンXの物語のその後、という事を、様々な要素で描いています。テレビシリーズを見ていると思わずニヤリとする場面が多いのですが、特にクッキーの描写がずば抜けていましたね。

そして今作は、思い合って繋がるというXのテーマそのものの作品でした。

そのテーマを思いっきり言葉で説明しているのは寒々しいんですが、前述している通り映像でこれでもかと描写しているのが本当に素晴らしい!映像で、繋がっている、協力ってことを、魅せているんですよ!これが見たかったんですよこれが!!!

テレビシリーズでも、様々な形で「異なる存在との繋がり」が描かれてきました。その続編として、またエピローグとしても、今作は素晴らしい落としどころだったと思います。



ここまでかなり褒め気味でしたが、お話自体はテンプレそのものかつ御都合主義の連発なので、ドラマ部分になると一気に面白さが急落してしまいます…。映像で魅せる部分は申し分ない面白さ、説得力なのですが、真っ当な物語作品として観ると苦しい評価となってしまうでしょう。

しかし、様々な視点を持つ「大人」も、かっこいいウルトラマンを楽しみにしている「子供」も、どちらも期待していることが十二分に楽しめる娯楽映像作品であることは確かです。

さてここからは、超個人的な感想を書いていきたいと思います。まず面白いと感じた点から…。


①多方面からの考古学描写

②冒頭のダイジェスト

③劇場環境


①多方面からの考古学描写

今作では「考古学」が重要な要素として登場しています。吉本多香美さん(レナ!)演じる玉城ツカサは「歴史へ敬意を払い、学問としての考古学」を実践する人物でした。対して、理不尽な人間側として登場するカルロス黒崎は「考古学が持つエンターテイメント性」を信じ、積極的に発信していく人物として描かれています。そしてツカサの息子であるユウトは「過去の遺物への純粋な興味」を抱く者でした。

登場人物達が「考古学」の様々な魅力を信じる姿が描かれており、考古学というものがある意義を考えてしまいました。「ウルトラマン」という過去から続く遺産を学び、新しい時代へ継承していくという行為もまた、考古学と言えるかもしれませんね。


②冒頭のダイジェスト

冒頭数分でウルトラマンXのテレビシリーズダイジェスト映像が流れるのですが、見せ場が凝縮されていてなかなかの見応えでした。見慣れている光景も大スクリーンだと迫力が段違いで、これだけで少し泣きました…。


③劇場環境

「ティガだ…ティガ…!」

「知ってる!あれスパークレンス!」

「ティガだ!」

「あれはゾフィーだよ」

「エックスーーー!」

(満足げな親世代の顔)

エクスデバイザーを持ってきている子もいましたね…!



次に、残念だった点を…。


①最後でクズ面が目立つ社長と学者

②言葉だけで示される描写

③傍観するティガとマン


①最後でクズ面が目立つ社長と学者

調査の前に復興作業だろ!!!!!


②言葉だけで示される描写

怪獣との共生地区であったり、各国Xioとウルトラマン達の共闘であったりと、激アツな展開を言葉だけで済ませてしまう場面がありました。特に後者は予告でも強調されていたことだったので、しっかりと映像で魅せて欲しかったですね…。


③傍観するティガとマン

エックスがベータースパークアーマーを着こんだ後、何故かティガとウルトラマンはエックスの戦いを援護しないんですね。消耗していたのは分かるんですが、全く映りもしないというのは不自然さを感じました。また、エックスとティガと初代マンがしっかりと共闘し合うシーンは、思いのほか少ないんですよ。あくまでも「劇場版ウルトラマンX」なので高望みしすぎた部分もあるのですが…。




残念な点もありますが、そんなことがミジンコ程度に思えるほど満足度は高い作品でした。何よりも観ている間中「楽しい!ありがとう!ありがとう!それが観たかったんだ!!!」の連続だったので、今年観た映画の中で最も楽しめた一作、今年暫定ベストの一作になりました。週末動員も、公開館数が50という少なさながら10位にランクインしており、この作品への期待と満足度の高さが伺えます…!


ウルトラマンを好きで本当に良かった!




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